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自分の声に違和感? 客観的に知るためには


こんにちは。ビートワン代表の金沢寿一です。

今回のテーマは、「自分の声を客観的に知るために」です。前回のコラムで「いい声・きれいな声」について述べました。それでは、自分の声がどんな声なのかということを、どのようにして客観的に認識すればよいのでしょうか。実際、自分で認識している「自分の声」と、他人の聴いている「自分の声」は、ずいぶん異なっているのです。

録音した自分の声が気持ち悪い、という問題

録音した自分の声を聴いたことがある方のほとんどは、「気持ち悪い」「自分の声はこんな声ではないはずだ」という違和感を感じたことでしょう。特にナレーターや声優を目指すような方は、トレーニングの中で日ごろから感じていることかもしれません。そのとき、「いい声だ」と感じる人の割合はおそらく1割にも満たないはずです。たいがい、がっかりするのです。

この違和感はなぜ起こるのでしょうか。音声学的な詳細はさて置いてごくシンプルに説明すると、自分の声をそのまま自分で聴く場合には「空気を伝わって聞こえる声(気導音)」と「骨伝導で聞こえる声(骨導音)」が重なって、いわばステレオのような響き方をしているのです。それに対して、録音した声を聴く場合には気導音のみです。当然、前者のほうがよく聞こえやすい音です。しかし、日ごろから第三者に聞こえているのは後者の音です。

機械を通した声のクオリティを上げることはできるが……

プロになるためのトレーニングを積み正しい発声を身に着ければ、録音した声、つまり機械を通した声のクオリティを上げることは可能です。それにより、違和感を軽減することは可能です。ただ、プロとして活躍している人であっても、やはり多くの場合は機械を通す前の声(骨伝導で聞こえる声)のほうがよく聞こえています。そういうものなのです。この問題はプロになってもずっと続くものです。それでも、前回の記事で述べた「雑な音」をなくす訓練をすれば相手によく伝わります

ただし、ここで「きれいな声」を出そうとしても、それは所詮イミテーションであり、真似ごとにすぎません。これも前回述べたことの繰り返しとなりますが、世の中には持って生まれた「きれいな声・いい声」の人がいるのです。声の場合は自覚しにくいのですが、これは外見においてスタイルがいいとか顔立ちが端正である、といったことと同じことなのです。

そこで大切になってくるのは、とりもなおさず表現力です。それによって、「特徴」が磨きのかかった「個性」になり、武器になっていくのです。

声の特徴とは? それを個性につなげるには?

「声の特徴」には様々なものがあります。たとえば、極端に低い、極端に高い、かすれ声、明るい声など。「自分の声の特徴は何か」と考え込むよりも、周囲の人々の声について注意してみるのがよいかもしれません。声というのは十人十色です。それらの特徴をとらえてみて、では自分の声質の特徴は何なのか、と考えてみましょう。

プロとして活躍しようとするとき、「特徴」が単なる特徴のままでは、それは武器になりません。「特徴」を「個性」につなげていかなければならないのです。では、そのためには何を意識すればよいのでしょうか。

ここで大切なのは、「声質に合ったテンポ・リズムを見つける」ということです。わかりやすくごく一般化して説明すると、声が低い人の声が伸びる(よりよく聞こえる)ためには、どちらかといえばスローテンポのほうが適しています。また、声が高くて歯切れのいい人の場合、速めのテンポで発声すると特徴が生きてきます。そのうえで、「低い声の良さを保ったままテンポを上げる」といったことができるようになれば、低い声がさらに生きるようになり、プロの技術に近づいていくのです。

次回は、多くの人が悩む「滑舌」についてお話しします。

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